美しが丘5丁目の住宅 設計趣旨

敷地はたまプラーザ駅から程近い小高い丘の上に位置し、緩やかに南へと下る西側の前面道路に長辺が面する整形の区画である。低層の住宅地が駅周辺の商業系のエリアに接する境界部に位置するため、用途地域による制約と地形により生じたレベル差によって、敷地からは東南方向へ眺望が開けている。

プログラムは、夫婦と子供2人の家族のための住宅を基本としているが、近未来の3世代での居住や将来の2世帯での居住に対応できるフレキシブルな計画が求められた。

道路側のセットバックを取った上で、眺望の広がる東南角にまとまったオープンスペースを確保できるようにL字型の建物形状としている。その中央部に玄関から上部へとスパイラル状に上昇する縦動線を配置し、周辺に場所ごとの必要性に応じて床・天井レベルを調整して部屋を構成している。1階のリビングなど共用部はテラス越しに庭に南面する場所に位置し、その西側に高齢居住にも対応できる部屋が配置されている。2台分の屋内ガレージは前面道路と庭のレベルを考慮してあえて南側に配置し、階高を押さえてその上部を空間的に豊かな共同書斎としている。連続的に設けられた壁面の本棚に誘われて、床レベルは段階的に2階の個室群へと上がっていき、1階リビングの天井高を確保できるよう室5は最上部に配置されて、ベランダ越しに東への眺望を臨むことができる。
将来の家族構成の変化に合わせて、2階の納戸部に浴室を増設し、共同書斎のミニキッチン部を改築して第二のLDKへ拡張することで、水回りを分離した2世帯住宅としての居住にも対応できる計画としている。