敷地は多摩川に程近く、東側の前面道路を挟んでぶどう園が隣接し、その先には多摩川崖線の緑を臨むことができる環境にありました。
 この住宅は夫婦と子供1人の家族のためのものであり、それぞれの個室と外部の環境と繋がるゆとりある共用空間を求められました。
 風致地区により敷地の四周をセットバックした上で、アプローチ側と庭側に2つのオープンスペースを設け、周辺環境とつながるよう建物を配置しました。玄関を入ると、和室越しに庭を垣間見ながら、上階からの光が降り注ぐ階段を上がり、天井の高いリビングからバルコニー越しに雲海のように広がるぶどう畑と崖線に残る緑を楽しむことができます。さらに、スパイラル状に上昇する階段の先には2つのルーフテラスがあり、周囲の建物の配置を前提にした開放的で多摩川の川辺の空間へとひろがる場所となっています。

(詳しくは設計趣旨へ)

所在地:東京都世田谷区 主要用途:専用住宅 構造・規模:木造(在来)・地上2階 
敷地面積:148.27m2 延床面積:117.13m2 竣工:2015.07 
施工:江中建設 株式会社 写真:堀内広治/新写真工房

外部仕上
 屋根:ガルバリウム鋼板 竪はぜ葺き
 外壁:セメントモルタル塗り(デラクリート)
    ポーチ:米松縁甲板張り 浸透性保護塗料塗り(キシラデコール)
内部仕上
 床:オーク複合フローリング張り
 壁・天井:天然素材塗り(ホタテ貝殻塗料・チャフウォール)
      ビニールクロス貼り

クライアントの声
新居に住み始めて1年8ヶ月、初めて住んだ時の感動ワクワク感は少しずつ落ち着いてきましたが、それにも増して愛着がより深まっています。
設計の相談は、購入した土地を見ていただくことから始まりました。約半年間ほぼ隔週で相談をしました。この土地の上に3次元の家をつくっていく楽しさを、毎回感じていました。フォルムスさんは、私たちの希望を次々形にしていく中で、光が射し風が流れる心地よい空間、木や貝殻の塗装に包まれた温かい空間を設計していって下さいました。
工事中も常に監理していてくださり、とても安心でした。
この家は、住んでいるなかで、ここにいることが好き!ということをいつも感じさせてくれる空間です。
(2017年3月)